コラム

ガーデン

Plants for Beautiful Facerd
~家庭菜園でフルーツの収穫を楽しむ(果物編)~

エクステリア&ガーデン業界の第一人者、粟井琢美さんによるガーデン&エクステリアコラム「Beautiful Life with Garden」第3回。
テーマは育てる過程も収穫も楽しく彩も楽しめる家庭菜園(果物)編です。

栗井琢美
株式会社ユニマットリック
空間デザイン事業部
責任者・作庭家

~戸建てエクステリア・ガーデン設計施工は累計1500件以上~
・三井ホーム環境共生型住宅MIDEAS外構設計
・三井ホーム駒沢プレミアムレジデンスガーデンテラス設計
~海外国内問わずデザインコンテスト受賞歴多数~
・RHS英国チェルシーフラワーショウシルバーメダル受賞
・国交省主催まちなみコンテスト奨励賞受賞
一財)住宅生産振興財団 まちなみ塾講師
一社)日本エクステリア設計協会 副会長

果物を育てるのは、実はそこまで難しくない

「果物を家庭菜園で育てるのは難しそう」そんな風に思う人がいるかもしれません。しかし、育て方を工夫したり、種類を限定したりすれば、果物を育てるのはそこまで難しくないのです。
なにより、果物や花を楽しみ、実を食べる楽しみも味わえるお得な植物です。
果物の種類によっては、そのまま食べるだけでなくジャムにしたり、家のシンボルツリーにしたり、棚に仕立てて日よけ代わりにしたりするなど、幅広い楽しみ方ができます。

果物の木は、庭に植えずに鉢で育てよう

私がおすすめする果物の栽培方法は、庭に植えずに鉢で育てる方法です。鉢で育てると少し窮屈そうに感じますが、実は枝が伸びすぎずに肥料も十分に行きわたります。
そして、鉢の場合は栽培に適した場所に移動したり、室内に入れたりするのも簡単です。
なにより、鉢で植えた方が庭に植えるより果実がつきやすく、1~2年早く収穫できます。そのため、はじめて果物を育てる場合は、鉢で育てましょう。
鉢を置いておく方角は、状況が許すのであれば西以外の方角が望ましいです。
西は西日によって葉焼けしてしまう可能性があるからです。だからといって、西日でも角度を変えれば十分対応できます。日当たりのよい南に置くのはもちろんいいですが、北東や東などでも問題ありません。

鉢は3年に1度植え替えをしよう

成長につれて、少しずつ木が大きくなってくるので、3年に1度位の目安で、鉢の植え替えをしましょう。
植え替えどきを見極めるサインは3つあります。
1つ目は水が十分しみこまなくなること。2つ目は、鉢の底から根がはみ出していること。3つ目は葉の色が薄くなってきたり、枝や葉がしおれてきたときです。
どのサインも木に栄養が行きわたらなくなってしまう兆候なので、気がついたら鉢を植え替えましょう。

はじめて育てる果物の選び方

果物の木を選ぶポイントは、果物を育てることで何を得たいかによって違います。
メンテナンスが簡単なのは、びわと栗。鉢でも育てやすいのがキウイやいちじくやレモン、オリーブです。
庭のスペースが広い場合は、棚を作って、パッションフルーツやぶどう、ブラックベリーなどを育てるのもおすすめです。成長して生い茂ってくると、庭に木陰も作れます。
ジャムを作りたい方は、グァバ、ブルーベリー、あんず、金柑、フェイジョアなどを育てるといいでしょう。
家の顔になるシンボルツリーを植えたい人は、ジューンべリーが北欧では人気が高いといわれているそうです。

人気の果物と、育て方のポイント

家庭菜園で人気のある果物と育て方のポイントをお伝えします。

・レモン レモンを鉢植えにするときは、強風などであおられないように支柱を立てましょう。実をつけたいときは、枝の成長に栄養が行きすぎないように、誘引(支柱などにつるを結びつけて固定する)して花を咲かせましょう。鉢は北風があたらない暖かい場所に置くようにしてください。


・ブルーベリー ジャムで人気の高いブルーベリーは、ハイブッシュ系とノーザンブッシュ系の二種類があります。
ブルーベリーを植えるときは、同じ系列の2品種以上を一緒に植えると、果実が大きく実るといわれています。土は酸性の用土を使い、ブルーベリー専用の肥料を使用しましょう。


・パッションフルーツ パッションフルーツは、つるが長く伸びるため誘引をしましょう。人工授粉をする必要があるので、筆や指などで雄しべについた花粉を雌しべの先端につけましょう。暖かい場所で育つ果物なので、冬の間は室内に入れてください。
こうした果物の苗や鉢は、DIYセンターなどで扱っていますので、自分の育てたい果物を探してみましょう。

はじめて実がなり、収穫する喜びは格別

果実が収穫できるようになるまでには、少なくとも1~2年はかかります。時間がかかる分、収穫できた時の喜びは格別です。
また、果物の木が自宅にあると生活の潤いにもなりますし、育っていく過程を見守るのも楽しみです。日常のなかで土いじりをできる時間があると、安心感にもつながります。園芸療法というセラピーがあるくらい、植物を育てたり、土いじりをしたりすることには癒し効果があるそうです。

なんだか楽しそうだからという軽い気持ちで始めた人が、栽培の楽しさを実感し、食卓が豊かになり、次はジャム作りに挑戦など、どんどんはまっていくことも多いです。
自宅になっている果実を料理に使う、なんて夢の生活が待っているかもしれません。

Webプロデューサー・編集:丸山香奈枝
ライター:久保佳那