コラム

ガーデン

Plants for Beautiful Facerd
~家庭菜園で、暮らしに豊かさを(野菜編)~

エクステリア&ガーデン業界の第一人者、粟井琢美さんによるガーデン&エクステリアコラム「Beautiful Life with Garden」第2回。
テーマは『ステイガーデン』の需要も増えつつあり、おうち時間を上手に使え満足度も高い、家庭菜園(野菜)編です。愛でる喜び、食べる楽しみを味わえることから近年人気が高まっています。

栗井琢美
株式会社ユニマットリック
空間デザイン事業部
責任者・作庭家

~戸建てエクステリア・ガーデン設計施工は累計1500件以上~
・三井ホーム環境共生型住宅MIDEAS外構設計
・三井ホーム駒沢プレミアムレジデンスガーデンテラス設計
~海外国内問わずデザインコンテスト受賞歴多数~
・RHS英国チェルシーフラワーショウシルバーメダル受賞
・国交省主催まちなみコンテスト奨励賞受賞
一財)住宅生産振興財団 まちなみ塾講師
一社)日本エクステリア設計協会 副会長

おうち時間を充実させてくれる家庭菜園

新型コロナの影響により、おうちにいる時間が増え、居心地のよい空間にしたいと考える方が増えています。また、テレワークにより通勤時間が減ったことで、仕事直後や休憩時間に家のことをする傾向も高まってきました。
こうした流れをうけて、エクステリアにも注目が集まっています
特に家庭菜園は人気があり、理由は、主に4つ考えられます。
1つ目は土いじりが気分転換になりストレス発散につながること。2つ目は、野菜を育てる過程を楽しめること。3つ目は育てた野菜を収穫する達成感があること。4つ目は自分で育てた野菜を食べる楽しみがあることです。家庭菜園をはじめると、暮らしが豊かになり、より充足感を得られるといわれています。

※三井ホームEYEアンケートより

家庭菜園が初めての人におすすめの野菜

初心者が比較的失敗しにくい野菜は、玉ねぎ、白菜、カブ、キャベツなどです。
また、ハーブと組み合わせて一緒に植えることで野菜の成長促進や害虫よけに効果があるといわれています。

家庭菜園をはじめようと思ったとき、まず悩むのはどんな野菜を栽培するかです。
はじめての人が野菜を選ぶポイントは、狭いスペースでも栽培ができて育てやすい野菜を選ぶことです。たとえば、バジルや小松菜、ルッコラ、ほうれん草などです。
また、ミニトマトはあまり手をかけずに育てられ、実がなるので過程も楽しく達成感があります。半年ほど野菜を育てたら、次は別の野菜を育ててみるのもいいでしょう。違った種類の野菜を植えることで、土もよい状態になります。

はじめてでも失敗しない家庭菜園のポイント

はじめての方が家庭菜園で陥りがちな失敗は、途中で枯れてしまったり、実がならなかったりすることです。これを避けるポイントは、まずは、よい苗を選ぶこと、必要なものを揃えることが重要です。

・よい苗を選ぶ方法 途中で枯れたり、野菜ができなかったりするのは、弱い苗を選んでいることが多いです。そのため、よい苗を選ぶことが家庭菜園を成功させるためにはとても大切です。
具体的には、茎が細くて弱々しい苗を選ばない、茎にぐらつきがない、虫がついていない苗を選ぶこと。
そして、病気にかかっていない苗を選ぶことも重要です。選び方のコツとしては、葉の色が薄く黄色っぽい場合は病気にかかっている可能性があるので、葉の色が濃いものを選びましょう。苗はホームセンターやDIYセンターなどで販売されていて、さまざまな種類やサイズがあります。

・培養土とプランターを使用して、日当たりや風通しにも注意 お庭がある場合でも、最初に家庭菜園をするときはプランターに植えることをおすすめしています。プランターは移動可能なものを選べば、日当たりや風通しのよい場所に置けるなど、初期対応のメリットがあります。
土は、保湿性、保肥性、通気性、排水性にすぐれている培養土を使用します。虫や病気対策のスプレーや、育てる野菜によっては支柱を用意しましょう。
私がおすすめするプランターは、「レイズドベッド」です。レイズベッドは地面からの高さがあるため、日当たりがよく湿気もこもりにくいため、害虫の被害を減らせます。

レイズベッドは高さが70cm以上あるため、手入れをするときにしゃがむ必要がなく、腰痛になりにくいですし、高齢者の方も使用しやすいです。また、高さがあって視界に入りやすいので、植物の成長を楽しめます。

虫が苦手な人におすすめの野菜と、
虫との付き合い方

野菜を育てるにあたって、「虫が集まってきそう」と心配する人もいるでしょう。虫がまったくつかない野菜は残念ながらありませんが、虫がつきにくい工夫はできます。

・コンパニオンプランツを育てる コンパニオンプランツは「共存作物」という意味で、一緒に栽培するとお互いによい影響を与えあう組み合わせのことです。
たとえば、香りの強いハーブや草花と、野菜を一緒に植えるのもおすすめです。害虫は香りを嫌うのでハーブが近くにあると虫がつきにくく、野菜とハーブがお互いの成長を促進します。
以下のようなコンパニオンプランツは、初めての方も育てやすいです。

・ほうれん草やトマト/バジル
・きゅうり/オレガノ
・トマト/バジル
・ラディッシュ/ミント

・殺菌剤を使用する 虫の被害で苗が弱ってしまってからでは手遅れになってしまうこともあります。そのため、苗を植えた初期の段階で、オーガニックな殺菌剤を使用するなど予防を心がけましょう。

・風通しのいい場所に置く 虫は高温多湿なところに集まります。そのため、風通しのいい場所に置くと虫が増えにくいです。

・庭に植える場合は、土の天地返しをする 土地の改良は、虫の防止や栽培環境を整える上で重要です。庭の土で家庭菜園をする場合は、植えつけをする2カ月前に土を掘り起こし、表面の土と内側の土をひっくり返しておきましょう。

・発生しやすいアブラムシの対策 アブラムシは反射光を嫌うので、アルミホイルなどを起いて、光を反射させるのが効果的です。また、アブラムシが好きな黄色の粘着テープを置いて駆除する方法もあります。アブラムシを駆除してくれるテントウムシを見つけて野菜の近くにおくのもよいでしょう。

・室内で育てる 室内にスペースがある場合は、室内で野菜を育てると虫がつきにくいです。ダイニングやキッチンなどに置くと、家の中にグリーンが増えてリラックスできますし、室内は気温の変化が少ないので、野菜を育てやすいです。

家庭菜園で家のカラーをつくっていく

快適な暮らしとは、ご自身のアイディア次第です。決して無理をするのではなく、心地よさと向き合い、独自の世界観を作っていくことが、喜びの一つになるのではないでしょうか。
家庭菜園は豊かな世界観をつくる第一歩にピッタリです。ルールを厳しく設けず、あくまで自然体で、できるところから楽しさを味わってみてはいかがでしょうか。

Webプロデューサー・編集:丸山香奈枝
ライター:久保佳那