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2023.01.15 ヘルスケア new

栄養もうまみもアップ!干し野菜作りに挑戦しよう

切り干し大根や干し椎茸などの乾物は、日本の食卓に欠かせません。乾燥によって水分が抜けることで栄養やうまみが凝縮され、長期保存も可能になります。スーパーで購入できるものもたくさんありますが、冷蔵庫に余っている野菜やきのこをご自宅で干して、「干し野菜」を作るのも楽しいものです。おいしさのためにも健康のためにも、干し野菜作りに挑戦してみませんか。干し野菜のメリットや作り方、使い方について、管理栄養士・旬菜料理家の伯母直美さんに伺いました。

野菜を干すことによるメリットは?

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干し野菜には、市販の切り干し大根や干し椎茸のように完全に水分を取り除く「ドライ野菜」と、表面を少し乾燥させた「セミドライ野菜」があります。野菜を干すと、保存性、風味、栄養価が変化します。

水分が抜けて、保存性が高まる

野菜を干すことで水分量が減るため、保存性が高まり、生の状態よりも長持ちするようになります。特に、水分が完全に抜けたドライ野菜はかなりの長期保存が可能になります。自宅で作ったドライ野菜は、ジッパー付きの保存袋や瓶に乾燥剤を入れて密封して保存し、3カ月程度で食べきると安心です。セミドライ野菜は水分が残っているため、冷蔵庫に入れて、数日以内に食べきるようにします。

うまみが凝縮。食感の変化も楽しめる

水分が抜けることで、野菜のうまみが凝縮されます。干し野菜のほうが野菜本来の甘みを感じやすくなるはずです。また、干すことで食感も変化します。白菜はシャキシャキして歯ごたえが良くなったり、トマトはねっとり感が出たりと、変化の仕方は野菜によってまちまちですが、こうした変化を楽しめるのも干し野菜の魅力です。

生の野菜よりも栄養価がアップする

野菜を干すと、水分量が減る一方、栄養はそのまま残って凝縮されるため、生の野菜と同じ量で比較すると、干し野菜のほうが栄養価が高くなります。特に、きのこは干すことによってビタミンDが増えることが知られています。ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を促し、骨を強くするのを助ける作用があるほか、免疫機能を調節する働きも期待されます。子どもから高齢の方まで、しっかり摂取したい栄養素です。

自宅でできる!干し野菜の作り方

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さまざまなメリットのある干し野菜。早速ご自宅で作ってみましょう。冬は空気が乾燥しているため、初めて干し野菜を作る方でも挑戦しやすい季節です。旬の野菜を干すのもおすすめですし、使いきれず冷蔵庫に入れっぱなしになっている野菜を干して保存性を高めれば、余らせずに使いきることができます。

干し野菜作りの手順

1.野菜を洗って、水分をしっかり拭き取る。
2.食べやすい大きさに野菜を切る。
3.ざるや網の上に、野菜同士が重ならないように並べる。
4.日当たりが良く、風通しが良いところで干す。

ドライ野菜を作る場合は、野菜の水分が完全に抜けるまで、数日から1週間程度干します。セミドライ野菜は、野菜にしわが出てしんなりするぐらいまで、数時間ほど干します。

上手な干し野菜作り、3つのポイント

(1)カビに注意!
特にドライ野菜を作る場合、数日かけて干す間にカビが生えてしまうことがあるため、風通しの良い場所で干すことが大切です。ときどき裏表を返しながら干しましょう。なお、必ずしも屋外で直射日光に当てなくても干し野菜は作れます。日の当たる窓際などに置いてもOKです。
ドライ野菜は、屋外で干す場合も、日が暮れたらいったん室内にしまい、翌朝また屋外に出すようにします。また、雨の日や、室内が高温多湿になっている場合、水分量の多い野菜を干す場合は、カビを防ぐために冷蔵庫の中で乾燥させる方法もあります。

(2)水分量の少ない野菜からトライ!
干し野菜は基本的にどんな野菜でも作れますが、最初はきのこや、水分量が少ない野菜から始めるとよいでしょう。冬であれば、にんじん、大根、れんこんなどの根菜類から挑戦してみるのはいかがでしょうか。夏はピーマンやパプリカ、なすなどがおすすめです。トマトを干してもおいしいのですが、水分量の多い種の部分を取ってから干すようにします。

(3)小さく切ったほうが乾燥しやすい
例えばにんじんや大根のいちょう切りは、セミドライ野菜にするのであれば問題ありませんが、ドライ野菜にするには面積が大きく、乾燥に時間がかかりますし、途中でカビが生えてしまうこともあります。ドライ野菜にする場合は、千切りにするなど、細く薄く切ったほうが水分が早く抜けやすくなります。

さまざまな料理に干し野菜を取り入れよう

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できあがった干し野菜は、どんな料理に使うとおいしく食べられるのでしょうか?アイデアをいくつかご紹介します。基本的に、ドライ野菜は水で戻してから、セミドライ野菜はそのまま料理に使います。

セミドライの白菜やキャベツを炒め物に

セミドライにした白菜やキャベツを炒め物に入れると、炒めたときに水分が出にくくなります。調理の際にそのままフライパンに入れればOKです。

きゅうりやなすを出汁で戻して和え物に

きゅうりやなすを薄く切ってドライ野菜にします。水の代わりに昆布出汁で戻し、和え物に使うと、ドライ野菜と出汁のうまみが合わさっておいしさがアップします。

お好みのドライ野菜を汁物に

ドライ野菜を味噌汁やスープに入れると、野菜のうまみが出ておいしくなります。汁物に入れる場合は、戻さずそのまま鍋に入れてOK。旬の野菜をお好みで使いましょう。さまざまなドライ野菜と豚肉を使って、豚汁にするのもおすすめです。

時短にも干し野菜がおすすめ

干し野菜は、干す前に食べやすい大きさに切ってありますし、水分が抜けることで調理時間が短くなるため、料理の時短にもつながります。例えば、ジャガイモを皮ごとセミドライにしてからフライドポテトにすると、水分が抜けている分、揚げる時間が短くて済みます。

フルーツをセミドライにして紅茶に

「ドライフルーツが自宅で作れたら」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、フルーツは水分量や糖分が多くカビが生えやすいため、野菜に比べると完全に乾燥させるのが難しくなります。柑橘類や柿、リンゴなどをセミドライの状態にして紅茶に入れ、フルーツティーとして楽しむのはいかがでしょうか。

皮も捨てずに余すところなく食べる

干し野菜は、皮ごと干してもおいしく食べられます。また、むいた皮を干して使うこともできます。例えば、煮物などを作るときにむいた大根の皮をドライにしてきんぴらにすれば、捨てる部分が少なくなり、野菜を余すところなく食べられます。

伯母 直美(うば なおみ)さんプロフィール
管理栄養士・旬菜料理家
東京家政学院大学卒業。赤堀料理学園フードコーディネータ科卒業。エコール辻・東京日本料理カレッジ卒業。料理研究家のアシスタントを経て、2000年より料理教室「暮らしのRecipe」主宰。企業・雑誌・WEB媒体のレシピ開発、テレビ・ラジオ出演、イベント料理講師、飲食店のメニュー開発などにも携わる。著書に『野菜を使いきる。』(主婦と生活社)、『冷凍うどんアイデア帖』(東京書店)などがある。
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